市場規模から活用事例まで 知っておきたいメタバースの将来性【前編】
オンライン上に構築された仮想空間で、アバターを使ってゲームやコミュニケーション、デジタル資産の購入、ビジネスなどを行える「メタバース」。2021年10月にはFacebook社が社名を「Meta」に変更したことでも話題になりました。
2021年時点での市場規模は国内で744億円、世界で4兆2640億円。
2022年はやや停滞気味だったものの、今後はVR・5G・ブロックチェーンなどの技術発展や、エンターテイメント関連にとどまらない幅広いサービスの開発により、急速に普及・拡大していくことが期待されています。
著作権問題をはじめとする法律・ルールの整備、VR機器のコストなどの課題や、ハッキングリスク、メタバース依存といった懸念を差し引いても、今後大きく成長する可能性が高い領域といえるでしょう。
有名企業が続々参入
実際に有名企業を含むさまざまな企業が、メタバース関連の新規事業を展開。続々と業界に進出しています。
株式会社三菱総合研究所によると、国内市場規模は2025年には約4兆円、2030年には約24兆円に成長する見込みです。また世界市場は2030年に78兆8,705億円規模まで成長するという総務省の情報通信白書の予測もあります。
メタバースがこのように注目を集める要因として、まず挙げられるのが「新しいビジネス機会を創出する」という側面でしょう。
たとえばコロナ禍で一気に普及したテレワーク・オンラインイベントを円滑化する「コミュニケーションツール」としても、メタバースの活用が期待されています。
また現実世界さながらの経済圏が形成されているため、仮想空間内で収益を得ることも可能です。すでにプロゲーマーをはじめとする少なくない数のユーザーが、メタバースを収益源にしており、今後のユーザー拡大に寄与する可能性が高いでしょう。
場所の制限がない点も、メタバースの大きな魅力。これにより店舗・オフィスなどに多大なコストをかけることなく、ビジネスが展開可能です。環境保全の観点から、SDGsとも相性がいいソリューションといえます。
進化する関連技術
さらにビジネスやエンターテイメントだけでなく、医療・教育・製造業・建築業などの幅広い業界でもメタバース活用の試みが進行中。社会貢献性の高さも、注目が集まる要因の一つといえるでしょう。
もちろん関連技術の進化も、メタバースの規模拡大を支える重要な要素です。
VRや高速処理を実現する5G・エッジコンピューティングはいわずもがな、現実世界の地理空間データを仮想空間に再現する3DCGや、画像処理によりリアリティの高いアバターを作成するAIなど、メタバースに関連するテクノロジーは多岐にわたります。
ブロックチェーン技術が生み出した「NFT」は、代替不可能、改ざんが困難、互換性が高い、希少性を付与できるといった特徴から、デジタル資産の創出とやり取りを活性化させました。
さらにデジタル資産の売買に使われる仮想通貨は、上昇と下降を繰り返しながらも2027年には1通貨あたり20ドル前後まで値上がりすると予測されており、メタバースの成長を後押ししています。
このように将来性の高いメタバースですが、具体的にはどのような領域で、どのように活用できるのでしょうか。
続く【後編】ではエンターテインメントやビジネスはもちろん、幅広い業界でのメタバースの活用事例についてレポートしていきます。