アニメ業界を目指すなら知っておきたい「製作委員会」のいま
2021年には市場規模が過去最高額を更新するなど、引き続き好調な日本のアニメ。その多くが「製作委員会」という方式で出資を募っていることをご存知でしょうか。
アニメ業界への就職・転職を目指すうえで、製作委員会の知識は欠かせません。
そこで今回は製作委員会の仕組みやメリット・デメリット・最新動向を紹介していきます。
アニメの製作委員会とは
製作委員会はアニメや映画の制作に必要な資金を、共同で出資するスポンサー企業の集まりです。アニメの制作には多額の資金が必要となるため、リスク分散のために製作委員会方式が採用されるケースは少なくありません。
その場合、アニメ作品の収益や著作権をはじめとするさまざまな権利は、投資額に応じて製作委員会に分配・共有されます。
製作委員会の起源は、手塚治虫氏が設立して1960年代に『鉄腕アトム』を制作した「虫プロダクション」まで遡ります。さらに1995年ごろ、『新世紀エヴァンゲリオン』のヒットをきっかけに製作委員会方式への注目が高まり、頻繁に取り入れられるようになりました。
製作委員会のメリット・デメリット
製作委員会方式の最大のメリットは「リスクを分散できること」です。
現在は国内外でクオリティの高いアニメ作品が数多く生み出されており、競争が激化しています。これにともないアニメ制作に投入されるコストも、ひと昔前からかなり増加しました。
しかしアニメ作品がヒットするか、制作資金を回収できるかは「蓋を開けてみるまでわからない」というのが実情。
その点、複数企業が出資を行う製作委員会方式なら、投資額を回収できない場合のリスクを大幅に軽減できます。また大口のスポンサーの撤退・倒産により制作が続けられなくなるリスクも防止することが可能です。
さらに、複数の企業が関わることで広範な広告宣伝や、多種多様なメディアミックス・二次展開が実施できるのも大きなメリットでしょう。
これにより制作費を回収できる確率が高まり、業界全体でより多くのアニメが制作できるようになっています。
一方で製作委員会方式には、利益が制作現場に還元されないというデメリットも。
アニメ制作をになうアニメ制作会社には、製作委員会に出資できるほどの資金力がないケースがほとんど。そのためどれだけアニメが興行的に成功しても、大きなリターンを得ることができません。
結果として制作スタッフの薄給や慢性的な人手不足、労働環境の悪化、モチベーションの低下につながってしまいます。
また製作委員会に参加しているそれぞれの企業が作品の内容に言及することも多く、そのすべてに対応しようとすると、作品のクオリティが低下するという弊害もうまれがちです。
製作委員会のいま
上記のようなデメリットから、近年は製作委員会方式のあり方も変化しつつあります。
たとえば『鬼滅の刃』では、製作委員会への参加企業をアニメ制作会社を含む3社に制限。リスクは大きくなったものの、作品のクオリティ担保と大きなリターンを実現させました。
これを皮切りに、現在は製作委員会を募らない「自社制作」の作品も増えています。
またNetflixなどの動画配信サービスを提供している企業と共同でアニメ制作を行うケースも。この場合、動画配信サービスの提供企業が求めるのは基本的に独占配信の権利のみのため、それ以外の二次展開などの権利はアニメ制作会社が獲得できます。
そのほかにも放映権や二次展開の権利をアニメ制作会社が握り、各業界の企業から権利の使用料を取るパートナーシップ方式が提唱されるなど、アニメ業界のあり方は大きく変動しつつあります。
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以上、製作委員会の仕組みやメリット・デメリット、最新動向について紹介してきました。
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