知ってるようで知らないCS放送 BS・ネットTVとの違いと今後の展望
独自のコンテンツに根強いファンがついているCS放送。しかし地上波やBS放送、ネットTVとの違いがいまひとつわからない人も多いのではないでしょうか。
今回はCS放送の仕組みや歴史・特徴などを掘り下げて解説していきます。テレビ・映像業界の仕事に興味があり、業界について深く知りたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
CS放送の仕組み
テレビ局からの電波を中継所経由で家庭のテレビに送信する地上波放送と違って、CS放送には「衛星放送」という仕組みが使われています。
衛星放送とは赤道上空の人工衛星を経由して、テレビに電波を送信する方式。上空から電波が送られるため、周囲を山や建物などの障害物に囲まれていても、電波を安定して供給できるのが特長です。災害の影響を受けない、送信できる電波の容量が大きく範囲も広いため効率的な放送ができる、といったメリットもあります。
衛星放送を採用する放送形態には、CS放送のほかにBS放送があります。
両者の違いは放送に使われる衛星の種類。一般家庭向けの「放送衛星(Broadcasting Satellite)」が利用されるBSに対して、CSではもともと学校・企業向け通信を目的としていた「通信衛星(Communication Satellite)」が利用されます。
CS放送の歴史
1989年の放送法の改正により、国からの認可を受けた企業であれば、通信衛星を使った一般家庭向けの放送が行えるようになりました。
日本で初めてのCS放送がはじまったのは1992年です。以来、放送局やチャンネル、番組が続々と生まれています。
1996年には現在の「スカパー!」が、「パーフェクTV!」の名称で初のCSデジタル放送をスタート。その後、「ディレクTV」「JスカイB」といったプラットフォームが統合され、2000年にはCSデジタル放送の唯一のプラットフォームとなりました。
同年にはBSの放送衛星と同じ東経110度の軌道上に通信衛星が打ち上げられ、BSとCSの電波をひとつのアンテナで受信できるようになったことで、視聴者の利便性が大きく向上しています。
累計加入件数は2000年の150万件から、約5年で350万件を上回りました。
CS放送の特徴と今後の課題
ニュース・ドキュメンタリー・ドラマなどの海外番組や、スポーツ・趣味・娯楽・旅行・エンタメといった一つのジャンルに特化した番組の多さが、CS放送の最大の特徴です。
チャンネルはすべて有料で、その数800以上。多様性と専門性の高さで、地上波やBS放送、ネットTVと差別化されています。
現在は、若者のテレビ離れや視聴者層の高齢化により、加入者が減少傾向にあります。2021年には2002年以来はじめて累計加入件数が300万件を下回りました。
状況を打開するため、スカパー!では有料動画配信サービス「SPOOX」を立ち上げるとともに、データを活用した広告ビジネスを促進。収益拡大を推進しています。
今後は既存の動画配信サービスにはない、CSならではのコンテンツの発信が必要になるでしょう。
同時に求められているのが、業界の枠に縛られない新たなアイデアの創出や、デジタル技術を駆使したビジネスモデルの変革を実現できる人材の採用。テレビ・映像業界への転職・就職を考えている人にとって、CS業界はこれまで培ってきた経験やスキル・知識を最大限に発揮できる領域です。
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